028817 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

第27部「白い箱」

27部 白い箱





地下水道  北極・野乃   同時刻
水滴が北極の首に滴る
「わぁっ!!」
「!!」
「・・・・」
「・・・どした?」
「ィャ・・・・水が落ちてきただけでした・・・」
「ビクった」
「ビクった」
「・・・野乃」
「ん?」
「本当にここ行けば本部着けるの?」
一度頬を膨らまし、フゥーッと長くため息を吐く
野乃も目を瞑り、項垂れながら
「俺もわんないよ・・・けど飯田T信じるしかないかんさ・・・間違えたら飯田Tがメールくれるしょ」
「・・・・ここ圏外じゃない?」
「・・・そんな訳・・・あっ!・・・」
「・・・・・携帯無力」
「・・・・む、無力・・・」
「・・・たぶん、トランシーバーは通じ・・・」
「・・・通じるかなぁ・・・?そうだと助かる、てかそうじゃないと助からない」
「てかよくヘリ運転出来たね」
「奇跡だよ」
「・・・・バカ、もし来る途中に死んてたら悲しいじゃん」
「でもあと帰りだけだから、頑張る」
「頑張れ」
「・・・あ、ねぇ知ってる?アンパンマンってねぇ」
「なに?」
「1回だけ子供に『こしあんは嫌いなんだよ!』って言われた事あんだよ」
「ウソだ」
「本当だよぉーー!・・・たぶん。。。俺も聞いた話だけど」
「誰に?」
「牧屋」
「じゃあ嘘だよ」
「そっかぁー?」
「・・・」
「・・・・どした?」
「・・・静かに」
「え?」
北極は野乃の頭を掴んでその場に伏せた。
「・・・・」
「・・・・」

「いたか!」
「いや、まだ見つからない!」
「・・・くそ!ネズミ共め・・・一体どこに隠れているんだ!?」
「しかし、カメラにここに入るのが写ったんだから必ずここの中にいるはずだ!」
「この先の本部内に入られたら元もこも無いぞ!」
2人がいる場所から汚水を挟んだ所に4~5人の兵士が止まって話していた
そして2人が来た方向へと走っていった
・・・・どうやら暗かったせいか、見つからなかった

【たったったったったったっ・・たったっ・・・たっ・・っ・・・】
足音が消えると、2人は起き上がる
「・・・・ふぅーーー・・・恐かった・・・みつかったら2人共死んでたね」
「・・・・そうだね、さぁ、本部の方向も教えてくれた、急ごう」
「・・・うん」
2人は走り出した

地下トンネル  伊勢・波原・紗山   12時44分
3人は走っていた
「ちょっ・・・!」
小さくだが後方からも足音が聞こえていた
「どお・・・すんの!」
「どうするって・・・・!」
「・・・・」
序々に速度が落ちていった
「・・・・あ、携帯通じないし!」
「うそぉ!!」
「・・・」
浪原が止まる
「え!?」
「何!?」
「・・・先行っといて」
「はぁ?」
「・・・ど、どうしたの?」
「なに言ってんの?ナミ」
「ちょっと用事思い出した・・・」
「・・・なにそれ?」
「良いから・・」
「・・・戻ってくる?」
「・・・わかんない」
「・・・・早く本部行けると良いね」
「・・・・?」
「早く済まして来てね」
「うん、じゃあ」
浪原は手を振った
「・・・・」
紗山は無言で伊勢の手を握って走り出す
「え、ちょっ・・・え?」
「良いから走って」
「え。でもナミが・・」
「・・・・」

「・・・・ってと」
浪原はバッグから4センチ平方の白い箱を出し前方に放った
【ガシャン】
そして銃を出し、両手で持ち箱に銃口を向けた
遠かった足音が近くなってきた
「・・・・」
「・・・・いたぞ!」
軍事服を着た男達が浪原の近くまで来、止まった
「・・・・さぁて」
「銃を捨てろ!」
「手を上げろ!」
「・・・・後悔するよ」
「なんだと?」
「ボンッ」
同時に引き金を思いきり引いた

【ガチュッ】

銃弾は白い箱の中身に当たった
そして黄色いとも白いともいえぬ色に光った
軍事服を着た男達も、浪原も、何も見えなくなったーーー
地下トンネルに閃光と漣獄の赤が走った

12時51分 残り03時間09分

地下トンネル・出口前階段  伊勢・紗山   12時52分
【ドカンッ!!】
地下トンネルが揺れた
2人は急いで階段を駆け上がる
そして見えた扉を開け、飛び込んだ
扉をすぐに閉めると、扉は空気圧でドンッと音と共に変型した
「・・・はー、はー、はーっ・・・・」
「・・・・はぁ・・・」
「ナミ・・・・は?」
「・・・・・」
「・・・知ってたの?」
その言葉に紗山は顔を背ける
「・・・・もう何言ったって戻れないよ・・・」
「・・・・・ナミ・・・・」
「・・・・ゴメン」
「!!」
「なみ!」
伊勢は入って来たのとは逆の扉を開け走って行ってしまった
「・・・・・」

水辺  成琴   12時57分
先の揺れで成琴は立ち上がる
揺れた先を見た成琴の目の先には、金崎が立っていた
「・・・・・」
「・・・・・」
2人は睨み合った
成琴はコルトを
金崎はナイフを
バッグから取り出し構えた
『これを・・・・これを最後にするからやらせてね・・・・牧屋』
『・・・・・銃か・・・・ちぃっ、分が悪いな・・・』
金崎はナイフをしまい、火炎放射器を出した
『新武器・・・・どこまでやれっかな・・・』
「・・・・火炎放射器・・・・恐っ」
『・・・・』

【ガシャン】

金崎は火炎放射器を一度ポンプアップさせた
2人の間に風が吹いた







© Rakuten Group, Inc.